（有）空間工房　金井建築アトリエ
泉山幼稚園
 
  ■設計覚え書  
  敷地は、緑豊かな東山山麓の歴史的風土の色濃い閑静な地。泉涌寺塔頭の新善光寺に接して、抜群の環境である。
この幼稚園には、固定したクラスルームというものは無い。あるのは、大きな屋根に包容されたオープン・スペースだけである。
新しい生活のイメージを求めた新しい秩序の感覚などが、こういう場と形態を選択させた、というべきか。
幼児教育システムの革新をマニフェストとして、教室が羅列したような画一的な教育空間の打開を目指した結果である。
未経験な事に対しては往々にして保守的になるものであるが、予測できる様々な困難を承知の上で、独自の教育理念をお持ちであった、 今は亡き、
僧侶であった園長先生の大英断によって、この空間は実現したといえる。
35年経た現在も色褪せることなく環境に溶け込んで、子供達の楽しげな穴ぐらとして、益々輝きを増しているように見えるのは、
設計者の贔屓目であろうか・・・？。　（洋洋社にて担当、「建築と社会」に掲載）